2010年10月27日 23:33
そして人生最大のイベントがお葬式。
来世へ旅立つためのお葬式にはかなりのお金がかかる。
その為 すぐにお金が用意できなければ何年も待つか
他の人の儀式に加えてもらう事になる。
だから 目の前で火葬されるといっても ほとんどの場合もう骨になってしまっている。
より高い世界への旅立ちに悲しみは禁物とされている。
始めの頃は いくら旅立ちの儀式とはいえ どうしてこんなに明るくいられるのか
不思議でならなかったけれど それは多くの場合
すでに長い時間が経っているという事がある。
やはり大切な人を失った直後は 悲しみで一杯なのだ。
式が出せる日までここに埋められる。
聖獣のみこしが勢いよく回されたり 揺らされながら少しづつ進んでは止まる。
時々聖水が打たれる。
お葬式には塔のようなみこしと、聖獣のみこしがあって
カーストが高い人ほど塔が高くなる。
みこしは村を練り歩く。
魂がこの世に未練を残し迷ってこないよう 激しく回され 揺らしながら進む。
この時にガムランも一緒についてくる。
坐って叩くやつじゃなくて 歩いて鳴らすガムラン。
舞踊の時の演奏もいいけれど このお葬式でのガムランは最高にいい。
激しく 力強い。
空気の流れが一瞬に変わり違う次元に引き込まれるような
魔力にかかって意識が遠くなっていくような
そんな不思議な旋律。
遠くの方から少しづつ響いてくる音 近くで激しく鳴り響いている音。
ず-っと聞いていたくなる。
みこしは村を練り歩き お寺に入ると お祈りが始まる
赤い衣装を着た人は カーストの上位(ブラフマ)の人でしかなれない最高司祭のプンデタ。
プンデタはたくさんのきれいな石の飾りを付け お祈りにベルが使われる。
りんりんりんとなんとも心地よい音色であたりに響き渡る。
空気が浄化されていくような感じがする。
お祈りには 聖水、花、香は欠かせない。
プンデタはマントラを唱え終えたあと 手に持っていた花びらを指先からピンとはじく。
その都度 花びらが宙を舞う。
カーストの高い人は この牛の形をした聖獣の中に遺体が収められている。
この時はもうミイラ化した遺体だったけれど 炎の中に微かに人の形が見えた。
焼かれた時に 変なにおいはなかった・・・。
お葬式の最後の過程で川あるいは海へ行く。
それは遺灰を流すため。
大きなトラックの荷台にみんなが乗り込み海を目指す。
激しいガムランの音とともに トラックが何台も通り過ぎてゆく光景もまた迫力がある。
(お葬式だけでなくお寺の創立記念であるオダランでも海や川に行く。)
お祭りの行列を目にするのは バリの各地から儀式の為にやってくるからなのだ。
でも同じバリヒンズーの宗教儀式も 地域、村ごとに意識ややり方も違うようで
儀式にたいする意識が濃いのはギャニアール県地域だと感じる。
カランガッサム出身の女の子がこの辺(ギャニアール県)の儀式やお供え物の
多さにびっくりしているという事もある。
そして 観光客にみせるという事にも力を入れている。
ウブドなどでは 大きなお葬式には遠くからも観光客が見にやってくる。
彼らはワイワイやってくる観光客をこころよく向かえ 見栄えよくする為にみんなで
おそろいの黒いTシャツを着たりもしている。
人生最大のイベントは 今は見せる為のセレモニー。
どこへ行くのかもわからず 長い行列についてゆく。
大通りをずっと歩き チャンプアンにさしかかると細い道を下っていった。
川に遺灰が流される。
一体どれに灰が入っているのだろうか。
きれいな花で飾られたお供え物が この後も順々に流される。
そしてその後もやはり お祈りをするのだ。